おまけ


 

ある幸せな犬の生活


ある幸せな犬
~著者紹介~

尻尾を振らないクールで愛想のない
若作りなマルチーズ。

家族に愛されているという
絶対的な自信から、
独自の人生観を作り上げた
かなり人間らしい犬。

基本的考え
「人は犬のため存在する」



しっぽ

犬は普通嬉しいと尻尾を振るよね。
でも僕は振らないんだ。
いつもHAPPYだから、
特に振る必要がないんだよね。

でもね・・・
尻尾を振らないから
本当は犬じゃないんじゃないかって疑われてるんだ。

だから時々尻尾を振って
犬をアピールすると
「くりが尻尾を振った」って大騒ぎ。

「尻尾振って」って頼まれれば
2,3回は振ってあげるよ。
毎日お世話になってるからお礼にね。

何で振らないかって?
それは秘密。



記憶力

犬の本にはよく
犬は大人になったらものを覚えないって書いてあるよね。
でも、あれは間違ってると思うな。

僕が子供の頃に覚えたのは「待て・オスワリ」くらい。
3歳の頃に新聞配達を覚えたよ。

9歳になって名前を呼ばれたら
手を上げることも覚えたよ。

ゆっくり時間をかけてくれれば覚えられるんだよ。
毎日いっぱいお話をして仲良くしてれば
話はちゃんと伝わるんだよ。



お話

みんなは毎日話しかけてもらってる?
僕はたくさん話しかけてもらってるよ。

毎日抱っこされてベランダから外を見ながら
いろいろなお話をしてもらうんだ。
これがないと寂しいんだ。

話しかけられることが少ないとボケやすいらしいよ・・・。



初犯

子供の頃
いつもは入れないようになってるキッチンに
入れるチャンスがあったんだ。
ドキドキしながら入ってみると
なぜか油の入った鍋が床に。

思わず油をペチャペチャ・・・。
顔をベタベタにして油を飲んでいるところを現行犯逮捕。
「お腹壊すでしょ!」ときつく怒られたよ・・・。
でも、お腹は大丈夫だったんだ。

さすがに翌日のうん○がちょっと油っぽかったけどね・・・。
油を飲んでもお腹を壊さない僕の胃は
「鋼鉄の胃」って言われてるよ。

良い子は真似しないでね。



後片付け

どうしても止められない盗み食い・・・。

6歳のある日。
キッチンのテーブルにドーナッツの入った箱が
置いてあるのを僕は知ってたんだ。

夜中にテーブルのそばのイスに乗って
箱を降ろして箱を自分で開けたんだ。
がんばったんだよ!
残った2つを食べて大満足で熟睡。

でもね・・・
翌朝しっかり怒られたよ・・・。

犬はその場で怒らないと意味がわからないっていうけど
僕はわかるんだ。
特に証拠を見せられたらね・・・。


箱を置きっ放しにしないでゴミ箱に
捨てて置けばよかったと後悔してるよ・・・。



好みのタイプ

僕の好みのタイプは物静かな人。

できれば
10代後半~60歳くらいまでの女性がいいな。
けっこう幅広いでしょ?

キャーキャー騒ぐ人や子供は嫌い。
こういう人は突然触ってくるから嫌なんだ。
突然大声出して走ってこられたら怖いんだよね。
静かにゆっくり話し掛けて欲しいよ。

匂いがするから
お化粧の濃い人、香水をつけてる人、
マニキュアしてる人も苦手かな。

えっ?注文が多すぎる?



洋服

僕は洋服を何着も買ってもらってるんだ。
特に気に入ってるのは赤いレインコート。

これを買うとき、お姉ちゃんはかなり悩んだらしいよ。
どうしてか?
それは高いから。
6000円だったんだって。

この前、お姉ちゃんは買ったばかりのリバーシブルの
コートを僕に見せながら
「これ4900円なのに、どうして、くりのは6000円?」
って聞くんだ。
何だか納得できないって顔をしてたよ。

リバーシブルのコートを4900円で買えて
得したって思って欲しいよ。
僕のはリバーシブルじゃないんだから・・・。



お散歩

お散歩をしてて不思議なことがあるんだ。
つまらなそうな顔で歩いてる犬さんがいることが不思議。

でも気付いたんだ。
つまらなそうに歩いてる犬さんの飼い主さんも
つまらなそうな顔をしてることに。

きっと義務で散歩してるんだよ。
もっと楽しめばいいのにね。

僕とお散歩しながら季節を楽しむんだ。
季節によって色やにおいを変化させる木や花を見て
そろそろ春だね、秋だねってお話するんだ。

えっ?年寄り臭い?



約束

僕と家族の間には
約束がたくさんあるんだ。

例えば毎日のブラッシング。
ブラシをもって呼んでくれたら
僕は走っていって背中を向けて座るんだ。
そうすると、背中、胸、耳、お腹の順番で
ブラッシングしてくれる。

この順番はいつも同じ。
だから安心して任せられるんだ。
いつも違うと、次はどこ?って心配になるからね。

約束してあると、安心できるよ。



防衛

炊き立てのごはんをもらうのが僕の日課。
でも、炊き立ては熱いから
フーフーして冷ましてもらう。

一度だけでは心配なので
フーフーが3回終るまでじっくり待つ。
1回のフーフーで渡そうとしたら
座ったままジッと目を見て
もっとフーフーしてもらうこと。

やけどしたら困るからね。
「感じ悪い」と言われても無視。
自分の身は自分で守らないとね。



犬だもん

僕は基本的にひとりで留守番はしない。
いつも誰かがいっしょにいてくれる。
本当のことを言えば、
家族みんなが家にいるのが好き。

誰かが出かける時は
おもしろくない。
だから超不機嫌な顔でお見送り。

でも!
僕が家族の誰かを置いて出かけるのはOK!
「勝手だ。冷たい」
と非難されても無視。
家に残る人のことまでは
考える余裕がないから。
だって犬だもん。




幸せな犬からのアドバイス
~楽に暮らすために~



考える

本能のまま、考えずに行動してはいけません。
何かをする前には
自分にとって得か損かを
しっかり考えましょう。

「考えないで動きなさい」と言われても
相手にしないこと。
犬だって考えることが大切。



思いやり

ちゃんと相手のことを考えましょう

お姉ちゃんとの散歩では走る。
お母さんとの散歩は歩く。

相手の年齢に合わせるのが礼儀。



記憶

犬は年をとるとものを覚えないなんてウソ。
自分に得になることはすぐに覚えられるはず。
「○○をしたらおやつをもらえる」
こういった大事なことはすぐに覚えられるはず。

覚えなくていいようなことは
「年のふり」をして覚えない。
これが楽な老後を送る基本。



物々交換

おやつが欲しい時は
「何か」を運ぶのが効果的。

相手が欲しがっているかは関係なく
「運んだ」事実が重要。

「運んだ」ことをアピールして
しっかりGET。

「頼んでない」「押し売り」
と言われても
聞き流しましょう。



犬らしさ

犬は呼ばれたら、喜んで走っていく?
そんな決まりはありません。
用があるなら、人間から来るはず。

用がありそうかどうか
しっかり見極めて判断しよう!
用がなさそうだったら
「聞こえないふり」がオススメ。



以心伝心

何かお願いがあるときは
家族の顔を見つめてアピールしましょう。

例えば
日向にクッションがない時
通りかかった家族をジッと見つめ
クッションをGET!

「以心伝心」
僕の好きな言葉です。