願い そのに


 

いっしょに暮らしてるみんなへ

 

なれないよ

みんながどんなに大切にしてくれても
僕たちがどれだけ望んでも、がんばっても
僕たちは人間にはなれないんだよ。
犬は犬、猫は猫、ウサギはウサギ・・・。
それを忘れないで。

みんなと同じように思ってくれることは嬉しいけど
どうしようもない違いがあるんだよ。

体の作りだって・食べ物だって違うんだよ。
僕たちをちゃんとわかってほしいな。

擬人化するのはやめて。
自分でダイエットはできないよ。
2本足で歩くのは無理だよ・・・。

愛しているならわかってね。



べんきょう

僕たちといっしょに暮らすなら、僕たちのことを勉強してね。
みんなは話すことも字を読むこともできるじゃない。
僕たちよりずっと勉強しやすいはず。

僕たちもがんばってみんなのことを理解するから
みんなも僕たちのことを理解して。

体のこと、ご飯のこと・・・
いろいろ勉強して欲しいんだ。

少しでも長くいっしょにいるためにも勉強してね。
知らないせいで病気になることだってあるんだよ。



個性

みんなと同じように僕たちにも個性があるんだ。

何かを覚えることに時間がかかったり
体が少し大きかったり
そんなことだってあるんだよ。

みんな同じじゃつまらないよね。



理想

僕たちと暮らすとき
きっと理想の生活を思い描くよね。
頭の中では
完璧な生活ができてるよね。

でもね
自分たちの生活を考えてみて。
完璧じゃないよね?
僕たちとの生活だってそれでいいんだよ。
もっと気楽に暮らそうよ。

守らなきゃいけないことと
守ったほうがいいことの
違いがあるんだよ。



大切なのは・・・?

僕たちに何を期待してるの?
名犬?癒し?従順?忠誠?

ただいっしょにいるだけじゃダメなの?
僕たちはそれだけでいいのに。

いっしょに過ごすことより
大切なことってなに?



しつけ?

「しつけ」って言葉
あんまり好きじゃないんだ。

いっしょに勉強するって考えようよ。
きみと僕の生活が
もっともっと楽しくなるように
いっしょに勉強しようよ。

きっと僕たちとの生活に正解はないんだよ。
いっしょに答えを探そうよ。
きみと僕が幸せなら
きっとそれが答えだよ。



どうして?

みんなは体重を気にするよね。
自分が太れば痩せようとするのに
どうして僕たちはダイエットしなくていいの?
僕たちだって太りすぎたら体に悪いんだよ。

どうして僕たちの太り過ぎは
コロコロしてかわいいでおわりなの?

いつもは人間と同じように思ってくれるのに
どうして、こういうときは違うの?

こういう時こそ
みんなと同じように考えてよ。



運命

僕たちがみんなと出会ったのはきっと運命なんだ。

大げさ?
そんなことないよ。

もしも、僕たちが難しい病気でも嘆かないで。
病気の僕たちと出会ったのも運命なんだよ。
君にならお願いできるって
神様が会わせてくれたのかもしれないよ。

だから巡り会えたことを後悔しないで。



Baby

いっしょに暮らしてたら
僕たちの赤ちゃんを見たいって思うかもしれないね。

でもちょっと待って。
「産む」ってそんなに簡単じゃないよ。
危険なことだってあるんだよ。

産まれてくる赤ちゃんたちのことまで考えてる?
ちゃんと責任持てる?

それでも赤ちゃんが欲しい?
どうして欲しいの?
きみたちの満足のためだけじゃない?



お散歩

すごく寒い朝
お散歩が面倒なことがあるかもしれない。
でも、考え方を変えてみようよ。

僕たちがいなかったら、
この道を通らないかもしれない・・・
ゆっくり歩くこともないかもしれない。

いっしょに楽しもうよ。
みんながつまらなそうだったら、僕たちもつまらないよ。
景色や風や季節のにおいをいっしょに楽しもうよ。
いっしょなら一人よりも楽しいよ。



お話しよう

みんなが思っているよりずっと話は伝わるんだよ。
でもね、いつも話しかけてくれないと伝わりにくいんだ。
だから、毎日どんなことでもいいから話してほしいな。

みんなだって1日誰とも話さなかったら寂しいよね?
僕たちだって寂しいよ。
大好きな人とはいつまでも話していたいよ。



スキンシップ

毎日いっぱい触って欲しいな。
みんなの体温を感じたいんだ。
僕たちの体温を分けてあげるから。

太ったかな?痩せたかな?
どこかいつもと違うところはないかな?
触りながらこんなことも見て欲しいな。



置いていかないで

病気になったから
手間がかかるから・・・
そんな理由で
いっしょに暮らせなくなるなんて信じられない。

ずっといっしょだって言ったじゃない・・・。
ウソだったの?



お別れ

いつか、僕たちはみんなより早く遠くに散歩に出かけるんだ。
悲しいことだけど、しっかり受け止めて。
苦しむのは見たくないって目をそらさないで。

僕たちをひとりにしないで。
いちばん不安な時こそずっとそばにいて。

最後のお願いだよ。
みんなも、さいごの瞬間ひとりだったら寂しいよね?
僕たちだって同じだよ。



お別れのあと


ずっと一緒にいたんだもん。悲しいよね。
それが当たり前なんだよ。

悲しければ泣いていいんだよ。
無理に我慢することも恥かしがることもないんだよ。
相手が大切なほど悲しみは深いんだよ。
悲しんでくれる人がいなかったら、僕たちは悲しいよ。
みんなの悲しみが、僕たちの存在の証しかもしれない・・・。

でもね、大好きなみんながずっと悲しんでいるのを見るのは
僕たちも悲しいんだ。
だから、少しずつでいいから元気になって。

いつかまた会えるから。
その時まで少しのお別れなんだよ。
僕たちが待ってることを忘れないでね。
幸せな時間をくれたみんなを待ってるよ。
だってずっと大好きだから。